子供のむし歯は減っている?
皆さんも子供のころ、学校で歯科検診を受けたことと思います。むし歯の有無や程度を確認してもらい、治療が必要な子供は、そのことが記された紙をもって、歯科医院に行ったものです。現在も学校での歯科検診は行われていますが、むし歯のある子供の人数や一人当たりのむし歯の本数はずいぶん減ってきています。
まず、「現在虫歯がある子供」(「未処置歯のある人」 といわれる)の比率ですが、
戦後、食糧事情が改善するのに連れて高くなり、1970年代にピークを迎え、
その後はどんどん減少してきました。具体的には、1940年代は 40%前後でしたが、1970年代には、中高生で 60%以上、幼児小学生では、80~90%もいました。その後は減少して、現在は 20%前後の数字となっています。
上記の数字に処置が完了した人の割合を足しても、以前 90%前後だった数字が、現在は 50%前後まで減少しています。
もうひとつ、永久歯の一人当たりのむし歯の平均本数ですが、もっとも古い統計のある1980年代後半は 5本に近い数字でしたが、最近では 1本を下回る結果になってきています。
むし歯ができてしまうのは、いろいろな要因が影響した結果なので、ここまでの減少の理由も一つの理由ではないと思いますが、大きな要因の一つは、
むし歯予防への意識の高まりであることは間違いありません。それは学校や歯科医療機関が親御さんやお子さんたちの意識の向上に努め、徐々に浸透していった結果でもあるでしょう。
学校での歯磨き指導やフッ素洗口、歯科医院での定期検診、ご家庭での歯磨き習慣の定着、おやつの与え方など食生活の改善、等の地道な努力の積み重ねであると言えると思います。フッ素入り歯磨きやキシリトールの普及も、後押ししていることでしょう。
この虫歯予防の習慣は今後もより定着させることが大切である一方、改善されていない問題やあらたに問題になってきた課題もあります。子供のむし歯は減っているのに比べ、
成人となった 20歳時点での「未処置歯のある人」+「処置が完了した人」の割合はあまり減っていないこと、
若い人の歯周病が増えていること、歯列不正の子供が増えていることなど、です。今回はスペースが尽きましたが、折を見てそれらの問題についても取り上げてみたいと思います。