ストレスの口腔への影響


 なにかとストレスの多い現代社会は、我々の心身にさまざまな影響をもたらしています。お口まわりも例外でなく、ストレス起因と思われるトラブルが出ることがあります。
ストレスの口腔への影響 「疲れてくると歯が痛む」などとおっしゃる方がいます。 症状としては、歯ぐきが腫れる、歯が浮く、むし歯の痛みの再発、歯のグラつき、などが多いようです。
 これらの痛みはストレスが直接痛みをもたらしているわけではありません。 ストレスが高まった時の寝不足や疲れにより、体の抵抗力が落ち、通常はその抵抗力で抑え込んでいた痛みが出現しているのです。

 ですから、やがてストレスが収まってくれば痛みも和らぎ、消えていきます。 またストレスが出ると再発するのですが、痛みが続かなければ歯科に行って治療するのは先延ばしになりがちです。 しかし、歯ぐきの腫れや歯のグラつきは、軽度の歯周病が考えられますし、むし歯の痛みの再発は治したむし歯になにか問題が発生しているのかもしれません。
  そしてこれらの症状は放おっておいても良くなることはありません。 これらの疾患は初期段階のことが多く、治療も早くできるケースがほとんどなので、治療の良い機会です。 忙しくても面倒でも時間を作って、歯科医院に行かれることをおすすめします。

人前でのスピーチなど、極度に緊張すると口のなかががすっかり乾いてしまうことがあります。 これもストレスが原因で唾液の分泌が減ることによるものです。 スピーチの時だけなど短時間ならあまり問題はないですが、ストレスで慢性的に唾液の分泌が少ないドライマウスということになると、口臭がひどくなることがありますし、唾液がむし歯を予防する機能も低下します。

歯ぎしりや食いしばりは、脳が精神的ストレスを発散させるために無意識に行なっている行動と言われています。 これらは歯(歯の磨耗、歯の神経の炎症、被せ物がとれてしまう等)や、顎(顎関節症)にあまりよくない影響を及ぼします。 頭痛や肩こり、耳鳴りなど全身に影響が及ぶことがあります。

社会生活を営む以上、ストレスと無縁に過ごしていくことはできないでしょう。 ストレスと上手につきあっていく方法を見つけることが、お口のためにも全身のためにも、なにより心のためにも大切なことだと思います。