抜歯後の注意点

  虫歯や歯周病など歯の病気、歯の矯正、親知らずなど、皆さんも一生のうちに何度かは、抜歯をせざるを得ないことがあるかもしれません。今回はその際の注意点など書いてみます。
抜歯後の注意点
 歯は歯を支える骨である歯槽骨からはえているので、歯が抜けた後には穴があき、骨が露出した状態です。
治癒の過程としては、まずそのくぼみにゼリー状の血の塊(血餅-けっぺい)ができてきます。これは皮膚の傷ができたときのかさぶたのような役割をして、骨が露出したくぼみを保護してくれます。
1週間から1か月くらいで血餅のなかに血管ができてきて、肉のような肉芽組織に置き換わります。これで骨は覆われ、表面には歯茎が伸びてきます。これでほぼ治癒した状態となり、骨のくぼみの部分はさらに時間をかけて骨に置き換わっていきます。
この過程からもわかるように血餅が大事な役割を果たします。血餅がすぐにはがれ落ちてしまったり感染したりすると、治るのが遅くなり、骨が露出した状態であるドライソケットとなると、強い痛みがでます。

 実際の注意点です。抜歯後の出血はガーゼを10~30分くらいしっかり噛んでいれば止まります。完全に止まらなくても、唾液ににじんでいる程度であれば問題はありません。抜歯翌日になっても、多めの出血が続くようなら医師に相談してください。
止血後もくぼみの部分に血が残りますが、これが先ほどの血餅になっていくので、強いうがいで洗い流そうとしたり、舌で触ったり、吸ったりすることはやめてください。食事のときは、食べ物のカスがくぼみに入り込まないよう注意して、入り込んでしまった場合でも、無理をして取り除こうとして血餅をはがさないようにしてください。
  痛み止めや感染防止の抗生物質を処方されることがあります、痛みがなければ痛み止めは飲む必要はないですが、抗生物質は、指示された服用方法・日数を守り、きちんと飲み切ることが大切です。
 抜歯当日は激しい運動・飲酒はやめて、入浴もシャワー程度までにして、早めに休み、睡眠を十分とり休養したほうがよいでしょう。
ほかにも腫れ、痛み、口が開きにくいなどの症状が出ることがありますが、多くは時間の経過とともにおさまってきます。強い症状が出たり、症状に改善がみられない場合は、歯科医師に相談しましょう。