子供の歯についての傾向

 前回のコラム「子供のむし歯は減っている?」のなかで、子供のむし歯は減っているのに比べ、改善されていない問題やあらたな課題があると3点ほど上げましたが、今回は少しそれらを掘り下げてみたいと思います。これまでのコラムの内容と重複する部分もありますが、ご容赦ください。
子供の歯についての傾向
・子供のむし歯は減っているのに 20歳時点のむし歯はあまり減っていない
:成長期になり食べる回数が増えることや、勉強が大変で夜の間食をすることが多くなったり、歯みがきも親に頼らず本人任せになり、ややおろそかになりがちなこと、など生活習慣の変化が主な原因だと言われています。またこの時期、永久歯がはえそろいますが、まだ表面のエナメル質は弱く、むし歯の進行が速いことも多くむし歯になってしまう原因と言えるでしょう。

・若い人の歯周病が増えている
思春期性歯肉炎と言われ、前述の食生活の変化や乱れ、口腔ケアの問題に加え、ホルモンの不調和が原因となります。この時期、性ホルモンの分泌が活発になりますが、それらを栄養源として歯周病菌も増加するためです。この思春期性歯肉炎は、女性のほうが多くかかる傾向が見られます。

・歯列不正の子供が増えている
:現代は、ファストフードや麺類、ご飯、ケーキなどのお菓子など柔らかくてあまり噛まなくても飲み込めてしまうものが好まれ、口にすることが増えていること、また塾通いなど子どもたちの忙しい日常は食事時間を短くしていること、などで咀嚼回数が減り、あごの筋肉が発達せず、十分にあごが成長しない子どもが増えています。
その結果、あごがすっきりした見た目の良い小顔の子どもが増えた反面、歯が収まりきらず歯列不正と診断される子供が増えてしまっています。

この柔らかい食べ物が好まれる傾向は、歯にくっつきやすい物が多く、お口のなかに長く残ってしまってむし歯のリスクを高めていること、咀嚼回数が減っていることは歯茎も弱くして、炎症(歯肉炎)を起こしやすくしていることなど、むし歯や歯周病とも関連があるようです。

食生活の変化や乱れ、口腔ケアに関しては、本人の意識によって変えることも可能です。適切な時期に適切な内容をアドバイスしたり、相談に乗ってあげることができれば、リスクを減らすことができるかもしれません。